2011/12/07

Joe Passのコードソロを分析してみました!

Editor : Shige Okusawa (Acousphere)

Acousphere奥沢です!
コードソロといえば誰もが一度はあこがれるジャズギターのスタイルですよね。
そのコードソロの開祖ともいうべき人がこのジョー・パスです。
コードソロを学ぶのに一番いいことはとにかく誰かのコードソロをコピーして弾いてみることです。
するとそこから何らかのコンセプトが必ず見えてきます。
ただ弾けるようになるだけでなく分析し、考えながら弾くことがとても大切です。
ここではジョー・パスのコードソロの譜面とそこから見えてくるいくつかのコンセプトをアナライズしたものを紹介しますので、是非弾いてみてそして彼のシンプルで素晴らしいコンセプトを盗みとってください。



今回分析につかった素材はCD「Joe Pass - At Akron University」で演奏したTake The A Trainの一節、7:43あたりからの演奏です。
以下にその譜面と僕が書き込んだアプローチの分析を掲載します。
































楽譜の上に書かれたコードが本来提示されているコードで、楽譜の下に書かれているコードがジョー・パスが弾いているコードソロにコードネームをつけたものです。
こうして見るだけでもめまぐるしくハーモニーが移り変わりそして本来の形からかけ離れたハーモニーを使っていることがわかります。
しかしただコードネームだけを見ているとどうしてそういうコードが当てはまるのかわかってきませんよね。
肝心なのはそのコードの動きをアナライズしてコンセプトを導き出すことです。
いくつかのコンセプトを紹介しておきますので、音を鳴らしながら理解していって下さい。

(1) Double chromatic approach - 目的のコードに向かって半音階でコードがアプローチしていきます。
(2) Tonic chord substitution - 同じ機能を持つコード同士は代理コードとして交換することができる。
(3) Octave play - Wes Montgomeryで有名なオクターブ奏法。指でつま弾かないで親指を引き下ろして弾く。
(4) Whole tone scale - D7b5などの五度がオルタードしているDominant7コードに対して有効なスケール
(5) Arrpegio - コードトーンを使ったアドリブのメロディーライン。
(6) Extended dominant pattern - Tritoneの緊張・解決してゆく性質を利用した一連の動き。

以上のことを通していくつかの仮説をたてることができると思います。
まず一番最初に僕が思うのは、とても難しいハーモニーで弾いているのですが、クロマティックアプローチの中で出てくるコードが多いので、頭の中ではとてもシンプルに考えているのじゃないかってことですね。
「リハーモニゼーション」とか「代理コード」というような難しい考えでなく、ただ目的のコードにむかって滑らかに流れてゆくって感じ、それがまさにJoe Passっぽい雰囲気だと思いました。

それから研究熱心な人だったということも、Whole Tone Scaleを使ってるところで僕は感じました。
この曲の作者であるDuke Ellingtonもこのコードの部分でWhole Tone Scaleのフレーズを弾いてるんですよね。
作者の意図する所をくみとって、更にJoe Passらしく演奏してる所は人に対する愛情をもった人だったんだなって思えて泣けてきます。
Duke Ellingtonへの尊敬の念も深かったのではないでしょうか。

素晴らしい演奏を残したJoe Passは素晴らしい人だったんでしょうね。嬉しいですね。


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